「ちゃんと寝て、食事を整えて、運動もしなきゃ」
体のために始めたはずなのに、気づけば守れなかった予定を数えている。セルフケアが、もうひとつの宿題になっていませんか。
続かないときは、目標を足す前に、始めるまでの手間をひとつ減らしてみる。調子がよい日だけできる計画ではなく、負担の小さい選択肢と、休む選択肢も用意する。 今回は、そのための工夫を整理します。
どうも。プロの引きこもり、まつながです。
ぼくは以前のnoteで、2度のメンタルダウンを経て、睡眠・運動・食事を大切にするようになった経験を書きました。中でも、運動を気合だけで続けようとするのは苦手でした。そこで、公園やジムへ行きやすい住環境を選び、始めるまでの負担を減らしました。
とはいえ、セルフケアのために引っ越すのは大きな話です。今回はその考え方を、自宅で変えられる小さな準備に置き換えます。以下は日常の負担を減らす提案で、病気を治したり再発を防いだりする方法として保証するものではありません。治療中の方は、主治医と相談している方針を優先してください。
1. 「何をやるか」の前に、どこで止まるかを見る
たとえば「散歩が続かない」とき。外に出ること自体がつらいのか、着替えを探すのが面倒なのか、歩く場所を毎回考えるのが負担なのか。止まる場所によって、できる工夫は変わります。
食事なら、買い物・調理・片づけのどこが重いか。休む準備なら、作業を終えることが難しいのか、寝る場所に荷物があるのか。
まずは「自分は意志が弱い」とまとめず、ひとつの動作として書いてみます。
| 気になっていること | 止まりやすいところの例 | 変えられそうな準備の例 |
|---|---|---|
| 外に出たい | 着替えを探すところで面倒になる | 着るものを一か所に置く |
| 食事を用意したい | 調理と洗い物が重い | 調理の少ない食品を用意する |
| 休みたい | 寝る前も仕事を開いてしまう | 翌日の作業をメモしてPCを閉じる |
| 気持ちを整理したい | 日記を長く書こうとして止まる | 一言だけ書けるメモを置く |
これは例なので、自分に関係するものがひとつあれば十分です。何も思いつかないほど疲れているなら、分析すること自体を後回しにして構いません。
2. 必要なものを、使う場所の近くに置く
ぼくが公園やジムへの近さを重視したのは、毎回「遠いけど行くぞ」と頑張らなくて済むようにするためでした。
同じ考え方で、家の中でも「取りに行く」「探す」「準備する」を減らせないか見てみます。
外に出る日に着る服をまとめておく。よく使う食器を取りやすい場所に置く。気持ちを書くための紙とペンを机に置く。大がかりな模様替えより、ひとつ動かすくらいからでいいと思います。
寝る前の準備が大変なら、昼間の余裕があるうちに寝床の荷物を片づけておく方法もあります。「疲れ切ってから全部やる」予定にしないためです。
もちろん、準備ができたからといって必ず実行する義務はありません。道具を目につくところに置くことが逆にプレッシャーになるなら、収納場所を変えるなど、自分が楽な形に調整します。
3. いつもの方法と、手間の少ない方法を用意する
「毎回きちんと自炊する」「必ず決めた距離を歩く」とひとつの形だけを決めると、それが難しい日に選べるものがなくなります。
そこで、体調と余裕に応じて選べるようにしておきます。たとえば、こんな分け方です。
- 食事:料理できる日は作る。難しい日は、買ったものや温めるだけのものを使う
- 気持ちの整理:書ける日は文章にする。負担なら一言だけ、あるいは書かない
- 体を動かす:無理なくできる日は短く外へ出る。体がしんどい日は休む
食事の例は栄養の必要量を満たす献立表ではなく、用意する手間を減らすための考え方です。食品の制限や治療上の指示がある場合は、それに沿って選んでください。
厚生労働省の「こころと体のセルフケア」でも、体調に合わせて方法を選び、眠れず体がしんどいときや食事が十分にとれていないときは、無理に運動しないよう案内しています。
小さくすれば何でも毎日できる、という話でもありません。少ない量でもつらい日は、やらない選択を残しておきます。
4. できなかった分を、翌日に取り返そうとしない
一日できないと、次の日に倍やって埋めたくなることがあります。でも、それで負担が増えたら、セルフケアの予定がますます重くなります。
ここでは「昨日の分は持ち越さない」と決めてみることを提案します。今日できるかどうかを、今日の状態で考えるためです。
記録する場合も、連続達成日数だけでなく、どんな準備が楽だったかを残してみてください。
夕食は温めるだけにしたら、準備が楽だった。今日はそれでよかった。
散歩は休んだ。明日の分を増やす予定は入れない。
こうしたメモは、採点表ではなく、自分が使いやすい方法を見つける材料です。記録自体が負担なら、続ける必要はありません。
元のnoteでも書きましたが、工夫していても調子を崩すことはあります。うまくできなかった日を、全部自分の努力不足に結びつけないでおきたいです。
5. 相談するときの手間も、元気なうちに減らしておく
セルフケアの準備には、人に相談しやすくしておくことも入れておきます。
つらくなってから、誰に何を伝えるかを一から考えるのは大変です。かかりつけの医療機関、信頼できる人、利用できる相談窓口などを、見つけやすい場所にメモしておく方法があります。
身近な人に伝えるなら、長い説明を完成させなくても大丈夫です。たとえば、こんな文面を用意しておけます。
最近、眠りや食事の調子がいつもと違って、生活がしんどくなっています。少し話を聞いてもらえますか。
これは相談を始めるための例です。眠れない、食べられない、気分の落ち込みなどで日常生活や仕事に支障が出ているときは、セルフケアだけで何とかしようとせず、早めに医療機関などへ相談してください。厚生労働省の「こころの耳」のセルフケア資料でも、生活や仕事への支障がある場合は専門家への早めの相談を案内しています。
相談することを、すべての工夫を試し終えた後の最終手段にしなくていいんです。つらさがある段階で、助けを借りる選択肢を持っておきましょう。
今日変えるなら、準備をひとつだけ
ここまで読んで「あれもこれも変えなきゃ」となったら、いったん減らしましょ。今日試すなら、次のうちひとつだけで十分です。
- よく使うものを、取り出しやすい場所へ移す
- 調理の手間が少ない食事の選択肢をひとつ決める
- 相談できる相手や窓口を、メモに残す
どれも難しければ、今日は休む。この記事を読んだことを、新しい義務にしなくて大丈夫です。
ぼく自身の経験と、睡眠・運動・食事について考えてきたことは、「2度うつになった引きこもりフリーランスのメンタル管理術」(無料note)に書いています。今回は、その中の「やる気に頼らない環境づくり」を取り出しました。
セルフケアを続けるために、もっと厳しく自分を管理する必要があるとは限りません。今の自分が少し楽に使える方法を、ひとつずつ探していけたらと思っています。
サムネイル写真:Claire Morgan / Pexels(Pexels License)。
